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ASSOCIAÇÃO CIVIL DE DIVULGAÇÃO CULTURAL E EDUCACIONAL JAPONESA DO RIO DE JANEIRO

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平成28年度リオデジャネイロ日本人学校 校内研究概要

学校教育目標「自分を磨く子」の育成のために

1. 研究主題

問いを持ち、自ら学ぶ児童生徒の育成 
 

2. 研究主題について

 これは、今日求められている「アクティブラーニング」(主体的な学習者の育成)を推進していくことである。アクティブラーニングでは、3つの資質・能力の育成につなげるような指導が必要と唱えられている。ここで身につけさせたい力として、知識・技能を使って課題を解決しながら思考・判断・表現し、同時に、社会や世界と関わり、人生を豊かなものにしようとする気持ちを育てることであり、これを目指すことがアクティブラーニングであるといえる。私達教師集団は、学び手である子供たちが主体性を持って学べるよう、教科の本質へ迫り、多様な考えと出会わせながら学ぶ楽しさへ子供たちを誘えるよう授業改善を図る必要があると考える。

 アクティブラーニングで求められる3つの資質・能力の育成
 
 以下、詳細については各項目をクリックすると、見ることができます。
 

3.児童生徒・教師集団の実際

 本校では、少人数指導の良さを生かし、児童のつまずきを見取り、きめ細かく指導し、一定の知識・理解を得るように指導を行っている。しかし、一方で、児童生徒が従順な学び手に陥りやすいこと、少人数ゆえに、比較・対立場面が不足することにより、他者の考えと比べたり選択したりすることが難しい場面も見られる。そのため、多様なものの見方から育まれる思考力を伸ばす場面を教師が意図的に作り出す必要がある。
 本校に通う児童生徒は、家庭の教育力があり、基本的な生活習慣ができている子、一定の学力を身に付け、学習へ向かう習慣の素地を持つ子が多い。しかしながら、海外で暮らす中で、空間的・時間的側面において大人の導きに素直で従順にならざるをえない面がある。本音を吐き出す場面やいたずらや失敗から学ぶという、子供本来の学びや子供らしさや主体性は育ちにくい。また、言葉を育てる環境的な刺激は日本より少なく、限られた人間関係の中、話し推論する力、すなわち、言語活動が不足していると考えられる。
 本校では、教科担任制による授業を展開し、教科の本質を把握し、専門性に裏付けられた指導を目指している。しかし、実際問題として教員の人数が不足し、専門を生かせる場面とそうでない場面がある。児童生徒に、知識や理解・技術などは教えることができても、教師の「発問や指示、説明や助言」の働きかけが適切かどうかを見直す必要がある。
 

4.「問いを持つ」ということ

 観点別の「関心・意欲・態度」の評価について、文科省答申では下記のように記している。
 ○ 「関心・意欲・態度」は,各教科が対象としている学習内容に関心をもち,自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものである。
 ○ 具体的な評価方法としては,授業や面談における発言や行動等を観察するほか,ワークシートやレポートの作成,発表といった学習活動を通して評価することが考えられる。(一部抜粋)

 このような方法では、積極的に発言したり学力が高かったりする子にばかり評価が集まりがちで、黙々と取り組むが外言に出てこない子の評価は十分に見取りづらい。後者のように意欲が見えづらい子も含め、評価するにはどうすればよいのか、評価を転換する必要があるのではないだろうか。そこで、意欲を持つ状態について考えてみた。

意欲は、次の4つの領域が考えられる。
・無為・・その教科が好きでないし、興味もやる気もない。意欲が無い状態。
・散漫・・欲求に従うのみでむらがある。
     (勝敗、スピードへのこだわり、楽しいと思えることだけ)
・忍耐・・本当はやりたくないが、大事だと思う(言われる)からやる。
・はつらつ・・学習をしたいという意志があり、学ぶ価値を知っている。

 ここで言う、はつらつ型の「学ぶ価値」とは、教科を主体的に学ぶ力であり、それは、学習や課題に対峙した時に、積極的に「問う」ことをし、主体的に関わろうとする状態である。すなわち、「意欲=欲求+意志」ということができる。本校では、発達段階から、低学年を中心に欲求型が多い。また、大切と思ったりそう言われたりしているために、従順で我慢しながら学習する「忍耐型」が多いように思う。はつらつ型の座標に向かえるよう、教科の本質や楽しさに気づかせ、自ら「問いを持てる」(意欲的で主体的、かつ、学習の本質や価値を求める)状態に導きたい。
 

5.問いを持てるようにするための手立て


(1)「よい問い」に学ぶ
  ① 教師の働きかけ
     教師自身が、教科の本質や魅力に気づかせるような問いを持つこと。
  ② 授業(案)に主要な発問の計画を立てること
    よく使う発問は何か、の発見。(学び方や進め方)
     ※ 教科・領域によっても異なる。
(2)「よい問い」に磨き上げる
   言語活動を大切にした学習
   子供たちは学習を進める中で、稚拙ではあるが、気付きや表現がある。
   それを、「問い」や的確な考えや思いの表現として磨き上げ活用していく。

見取る方法
  ——「ふきだし」意味と役割

 ヴィゴツキーによる言語の2つの働き
  「外言」と「内言」〜考えることは問うこと〜
   「外言」・・他人との相互交渉の用具であるような言葉。
   「内言」・・独り言のように、心の中で交わされる思考の道具。

 内へ向かう言葉(内言)は、自分への問いかけで、独り言を言いながら様々な思考をしている。自分自身に問いかけ、自分自身で答えている。「問う自己」は自己の中の他者。つまり、考えるということは、個人的な営みではなくなる。他者の問いかけが発問で、発問にはこの自己への問いかけ(内言)を育てる働きがある。 以下、内言を「ふきだし」とする

 ふきだしは、気持ちや考えについての気付きを、自らに向かって短く表現したものである。ふきだしを用い(可視化す)ることは、教師にとっても大きなメリットがある。児童生徒の気持ちや考えについての気付きや、関心やつまずきの場所、どのような考えをしているのかなどを見取り、適切な助言や発問を支える情報となるためである。
 また、ふきだしを増やし豊かにすることは、ヴィゴツキーの言うように、多様な他者の獲得となる。 学習の過程で、ふきだしを価値づけたり学習を支える言葉(「学習言語」)を獲得させたりすることで、児童生徒は自らの考えや気持ちを評価し、活用や問いへと向かわせるものではなかろうか。
 「ふきだし」を用いることを柱に、教材や教科の本質へと向かう、価値ある問いが持てるようにしていきたい。

ふきだしの活用
 ・子供の思いを見取る(教師主導を避ける)
 ・着眼点を活かす  (主体性)
 ・情意を大切にする (頭ではなく心を大切に)
 ・自己評価の手段  (数・量・主体性の変化)

6.具体的方策


(1)教師が教科の本質を理解し、発問を磨く
    そのことで、子供にも問う姿勢が身に付き、子供の問いも磨かれる。
(2)「ふきだし」を利用して、子供の思いや気付きを取り上げる。

 

7.研究の進め方

(1)日々の授業実践で
 ① 教科の問いの蓄積
 ② 授業でどのようなふきだしを活かしたか
      場面 磨き方 活かし方
      ふきだしの変容→整理してまとめる→係に提出→情報交換

 学習言語 
  学習の本質や基礎基本に関わる言葉。 学習言語の蓄積がより高度な思考力へとつながっていく。

 学習言語(算数Ver.)
   ・逆にしてもできる ・大きさの順にそろえてみる?
   ・だいだいどのくらい? ・おおよそそんな形
   ・前のどんな形を使ったの? ・大きくなっても同じ?
   ・似ているのは?  ・単位を決めて個数を数える
   ・大きな単位から用いる・数字と数字の間はある?
   ・面積の単位はなぜ1cm(2)? ・九九はなぜ9まで?

 学習言語(国語Ver.)
   ・会話文、地の文 ・音の数、リズム ・繰り返し(リフレイン)
   ・比喩(たとえ) ・短文、体言止め ・心内語 ・擬態語・擬声語・擬人法
   ・五感の方言 ・情景描写 ・倒置法 ・呼称表現 ・方言・共通語 ・対比
   ・時、場所、登場人物、出来事(事件) ・場面 ・連 ・あらすじ ・中心場面
   ・起承転結(導入・展開・山場・終末) ・時代背景 ・場面の対比 ・額縁構造
   ・伏線  など

 問い(国語Ver.)
  —クライマックスを問う問い—
  ・豆太が「おくびょう」を卒業したのはどこだろう。(モチモチの木)
  ・兵十のごんへの気持ちがかわったのはいつだろう。(ごんぎつね)
  —主題に迫る問い—
  ・『ごんぎつね』を読むと、どうして悲しくなるのだろう。(ごんぎつね)
  ・お父さんは、ゆみ子にコスモスの花を大事にしてほしかったのかな。
  ・お父さんがゆみ子に大切にしてほしかったものは何だろう。(一つの花)

① 上記の取組みを日々の授業で実践し、各自の実践した教科で、どのような発問をしてきたか洗い出し、繰り返し使用するものは掲示する。→まとまった段階で、取組みを研修部に提出し、職場全体の財産とする。

② 内言の言語化を図り(ふきだしの活用)と長期的な視点で質の変化を見取る。
     ・情意面中心のふきだし
      ・学習言語を含んだ疑問や予測のふきだし
 その後、いかに筋道立てて追究し、学びの深化を促す「問い」にするか


  (2)今後の計画
個人研修
 ・各々の教科で
グループ内研修
 ・低学年(1~3年)グループ、高学年(4~6年)・中学部グループ
全体研修
・各々の授業で得たもの(リポート) ・指導案検討 ・研究授業




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